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1 Aug, 2002
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Nr.023 水江のはっさん
その3 水江と八王子の間に…
「水江のはっさん」…この意味を知らなければ、これから先、事あるごとに、疎外感を感じなければならない。
思い切って本当の事を言った方が良い…と判断した私は、意を決して物知り風のクラスメートに尋ねた。
「知らんのんじゃ。水江のはっさん…いうたら誰?」
“知らんのんか!”と蔑むような口調で言った手前、このように下手に出れば、間違いない答えが返って来るはずだ。
そんな期待に胸躍らせる私が受け取ったのは、意外な答えだった。
「いや〜、実はワシも知らんのんじゃ。」
「え!? でも、何かびっくりした時に使ようったが…」
「うん。恐いような、びっくりしたような時に “水江のはっさん”て言うらしいんじゃけぇど…それだけしか知らんのんじゃ」
「何ならそれ…。ほんなら、判らずに使ようったん?」
「うん…」
何の事はない、この中州小学校出身の、物知り風のクラスメートも、よく判らずに使っていたのだった。
それから、この言葉が出た場所では、必ず質問するように心掛けていたが、やはり誰も満足する答えを返してくれる事はなかった。
私は、この言葉の意味が分かまで、20数年もの時を費やす事になる…とは思ってもみなかった。
つい最近になって初めて、意味が判ったのである。
水江のはっさんを知るには、少々の予備知識が必要となるので、面倒でもお付き合いいただきたい。
まず現在の、水江という部落を見ると、高梁川の東側だけと感じられる。
この川が市境となっている、倉敷市という単位で見た時、それは当然である。
が、高梁川で隔てられた隣の浅口郡船穂町、つまり川の西側にも、水江と呼ばれる部分がある。
現在は、高梁川という大きな川が、市と村の境界線として分断しているものの、かつては、一つの「水江村」だったのである。
その水江村と、川を隔てたこちらの村=八王子村を結ぶ橋があったのだ。
今はその位置よりも少し下流に、立派な船穂橋がかかっているが、この橋は、時代背景から考えても、さほどしっかりしたものであるはずはなかった。
と言うより、その構造は、今の橋にはあり得ないものである。
高梁川は現在、ゆったりと豊かに流れる…というイメージだが、かつては、雨が降ると、すぐに水かさが増し、洪水を起こすという凶暴な面も持っていた。
そんな激しい流れに変わった時、昔の土木技術で造った橋が無事なはずはない。
あっと言う間に破壊され、そして流される。
多分、幾度となく流されたのかも知れない。
昔の人達は、その自然環境を考慮して、特別な橋を作ったのである。
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by アルケミー・えんしゅう
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