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1 Aug, 2002
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Nr.022 水江のはっさん
その2 オヤジ!のおっさん
さて私は、「水江のはっさん」の意味がどうも分からず、中州出身の、樹の弱そうなクラスメートに聞いてみた。が、聞かれたその人物は、嫌な所を探られた…というような顔をした。私は、いけない事を聞いてしまったのか…と後悔した。
気まずい時間が流れる中、ちょうどその時、学校の外を、「おやじ!」と気合いのような叫びのような声を上げながら自転車に乗ったおじさんが通り過ぎた。授業の途中で、変なヘバリ声が聞こえるなぁ…と思っていたら、このおじさんの仕業だった…というのが、その時、初めて分かった。
が、私が尋ねたクラスメートは、そのおじさんの方を見て、少しだけ、顎をしゃくるような格好をした。だから私は、
「あのおっさんの事?」
と聞き直した。
すると、この中州小学校出身のクラスメートは、詰まりながらも
「う、うん…」
と肯いた。
後から考えると、このクラスメートも、「水江のハッサン」の事を何も知らなかったのだ。それなのに、「知らない」と言えなくて、分かっている振りをしていたのである。
さて、そんな事とは知らないまま、2週間程が過ぎ、少しづつクラスにも打ち解けて来た頃、また、この「オヤジ!」と叫び続けるおじさんが、再び学校の横を通った。
ちょうど周囲に向かって話しかけていた私は、それを見て、自分も知っていて、皆んなの仲間なんだ…という事を強調するべく、
「あ、水江のはっさんじゃ!」
と、声を出した。
しかし、話は噛み合わなかった。一緒に居た物知り風のクラスメートは、一瞬、キョトンとし、そして教えてくれた。
「あぁ、ありゃぁ、“オヤジのおっさん”じゃ。
あの人は、戦争に行って、敵の弾が当たった時、 “オヤジ!・オヤジ!”と叫び続けて助かったから、 今でも気合いを入れたら、あのオヤジ!という言葉が出るんじゃが」
「ほんなら、水江のはっさん言うたら、何なん?」
「お前ぇ、知らんのんか」
と、やや蔑んだような口調で言われた。
オヤジのオッサンとの思い違いを指摘されたショックと共に、私の心は、深く沈んだのである。
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by アルケミー・えんしゅう
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