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20 Oct
, 2000
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Nr.001  船倉変電所
          
 私が通った小学校の裏門から、程近い場所にある変電所である。およそ小学生がよくそうするように、友達とよくこの周囲で遊んだ。子供だから大声を出しながら遊びまくるのだが、時折、車の雑音が途切れ、そしてその騒ぎ声が途切れた時、柵と網で囲まれた中に存在する変圧器が、急に存在を露(あらわ)にする。

 そう、街のストーリーが展開する、効果音が一杯に溢れる中で、ポッカリと空いた無音の一瞬、ヴ〜ンと唸るトランスの音が聞こえる。メカニカルなシェイプが、サウンドが、何より好きな私であるが、その音は、アロイ(鋳造物…変圧器の外郭材)の巨大な入れ物の中に、必ず何かが潜んでいる…その存在を絶え間なく主張するものに違いなかった。

 私は、ここには、地に伏した電気の武者がいると信じていた。なぜかは判らないが、ここに来ると、直感的に、何かが居る場所だ…と感じずにはいられなかったからだろう。 それが、高圧電流の作り出す、磁場の歪みかも?と思ったのは、中学校になって、理科を習っての事だった。あの場所にいて感じていた、えも言われぬ感覚は、フレミングの左手がたくさんあったからだ…と、自分を納得させた。

 そしてそれから6年余り経った、大学の夏休み、郷土史を調査する為、図書館に赴いた。そこで見つけた文献を読み漁るうち、さらに驚く事実を手に入れた。

 あの変電所は、もとは処刑場だったのだ。 あの周囲にいると感じる、言葉で表現できない悪感は、もしかするとそのせいかも知れない…いや、安らかに眠り得ぬ魂を、フレミングの左手で抑えながら、アロイの入れ物に封印した場所に違いない…と、思わざるを得ないのである。

 もし、美観地区そばから、天城街道に入る道を深夜走る人がいるなら、小町トンネルからの道と交差する迄、できるだけ無頓着に通り過ぎることをお薦めする。鋭敏な感覚を張り巡らしていると、もしかしたら、体中の毛が逆立つかも知れないから。

by アルケミー・えんしゅう

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